共働き×iDeCo ポートフォリオ設計ガイド
共働き夫婦がiDeCoを賢く使うには「誰がどれだけ拠出するか」と「どんな資産配分にするか」をセットで考えること。税効率とリスク管理を両立する実務的な設計を解説します。
イントロ:共働きならではの強みと優先順位
共働き夫婦は収入が二本あるため、生活防衛資金を確保しやすく、iDeCoのような長期積立を比較的攻めて組める強みがあります。ただし最優先は必ず「流動性(生活防衛資金)」の確保。次に「税率が高い方から先に拠出する」ことを検討してください。iDeCoは運用より“税金”のインパクトが大きい制度です。
税効率がポートフォリオより重要になる理由
iDeCoは掛金が全額所得控除で、運用益も非課税。つまり同じ拠出額でも、税率の高い人が使うほど即効で手取りが増えます。共働きなら夫婦の税率差を利用して、家計全体の手取り最大化を狙うのが王道戦略です。
誰がどれだけ拠出するか:設計の優先ルール
- まず生活防衛資金(3〜6か月分)を確保する。
- 税率が高い方=高収入側から優先的に拠出する(節税効果が最大)。
- 高収入側の拠出枠が上限に達したら、低収入側にも拠出を分散する。
- 拠出は家計負担と将来の受取イメージを見ながら柔軟に増減する。
※被保険者区分でiDeCoの拠出上限が異なります。加入前に上限を確認してください。
ポートフォリオ設計(共働き向けの実務例)
共働きは「やや攻めめ」の配分が取りやすい一方、50代以降やライフイベントが近い場合は保守寄りにする必要があります。下は一例。
| リスク許容度 | 世界株式 | 国内株式 | 債券 | バランス型/その他 |
|---|---|---|---|---|
| 積極(長期・若手共働き) | 70% | 10% | 10% | 10% |
| 標準(安定志向の共働き) | 50% | 10% | 30% | 10% |
| 保守(定年前・資産保護重視) | 30% | 10% | 50% | 10% |
ポイント:手数料の低いインデックスファンドを中心にし、必要なら国内株式で少しスパイスを入れる。iDeCoでは商品の入れ替え手数料も見ること。
具体的な運用・管理ルール(実務レシピ)
- 初期配分は一度決めたら年1回のリバランスで整える(毎月の微調整は不要)。
- 手数料(信託報酬)を最優先で低い商品を選ぶ。
- 生活変化(育休、転職、住宅購入)で掛金を減らす/増やすルールを事前に決める。
- 夫婦で「受取年」を分散する(同年に大量受取しない工夫)。
出口(受取)設計 — ポートフォリオと同じくらい重要
受取方法は一時金か年金か、または併用かで税扱いが変わります。共働きなら夫婦で受取年をずらすことで、退職所得控除や公的年金等控除の枠を有効活用できます。
受取年に退職金がある場合は合算課税になることがあるので、事前シミュレーション(税理士や自分で簡易試算)をおすすめします。
実践チェックリスト(7日アクション)
- Day1:夫婦それぞれの年収・税率・手取りを一覧化する。
- Day2:生活防衛資金(現金)を分かる形で確保する。
- Day3:iDeCoの拠出上限を確認する(各自の被保険者区分で)。
- Day4:希望の掛金案(夫・妻)を試算する(税引後の手取りを確認)。
- Day5:金融機関を比較し、手数料・商品ラインナップを確認する。
- Day6:初期ポートフォリオを決め、iDeCoで設定する。
- Day7:年1回の見直し日(家族カレンダー)を決める。
よくあるQ&A(共働き視点)
- Q:どちらが先に拠出すべき?
- A:税率が高い方を優先。ただし家庭の流動性や将来の受取タイミングも考慮。
- Q:ポートフォリオは夫婦で同じで良い?
- A:問題ないが、年齢・退職予定の違いがあれば配分を微調整するのが合理的。
- Q:NISAとiDeCoどちらを優先?
- A:目的によるが、流動性を残したいならNISA(非課税)→iDeCo(節税)という順が一般的。
最後に:シンプルを続けることが最強
共働き夫婦の強みは「収入の安定」と「調整余地」。複雑にしすぎず、低コストなインデックス中心で継続していくのが最も再現性の高い戦略です。税効率(誰がいくら拠出するか)と受取タイミングの調整を軸に、年1回の見直しで最適化を進めてください。
必要なら、具体的な年収・掛金案を教えてくれれば、夫婦向けの試算表(簡易CSV/HTML)を作って返します。

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