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一時金と年金、どっちが得か?|iDeCo・退職金の受け取り方を実務で比較

一時金と年金、どっちが得か?|iDeCo・退職金の受け取り方を実務で比較

iDeCoや退職金の受け取りで「一時金(一括受取)」と「年金(分割受取)」どちらが有利かは、税制・家計構造・ライフプランで変わります。ここでは実務的に判断できる基準と簡易計算、ケース別の推奨を示します。

まず結論(超要約)

結論:「短期的な税負担を抑えたい・まとまった支出がある・退職所得控除が効く場合」は一時金が有利。一方「年々の生活費補填が目的・税の平準化をしたい・長生きリスクに備えたい場合」は年金受取が有利。多くは「一時金と年金の併用」「受取年の分散」が最も現実的。

税制の違い(重要)

受取方法で税の扱いが根本的に変わります。主要なポイント:

  • 一時金(一括受取):退職所得扱い(退職所得控除の対象)。控除後の課税は通常かなり軽くなる。
  • 年金(分割受取):公的年金等の課税に近い扱い(公的年金等控除が適用)。毎年の課税所得として扱われ、合算課税になる。

→ 税金面だけで決めるなら、退職所得控除が大きく効くケースで一時金が有利になりやすい。

実務的判断フロー(簡単)

  1. 受け取る金額の規模を確認する(まとまった金額か、小分けで十分か)。
  2. 退職所得控除の適用で税額がどう変わるか試算する(目安でOK)。
  3. 将来の年金・他収入と合算した年間課税所得を想定する。
  4. ライフイベント(住宅、医療、子への支援)を考え、まとまった資金が必要かを判断する。
  5. 最後に「心理的安心」「家族の要望」も考慮して決定する。

簡易計算イメージ(税の目安)

以下はあくまで概算イメージです。実際は個別事情(退職金の金額・勤続年数・他の収入)で変わります。

前提例A(小額)例B(中額)
受取総額200万円1,500万円
一時金(退職所得控除後の課税対象額イメージ)20万円相当200万円相当
想定税額(一時金)ほぼ0〜数千円数万円〜十数万円
想定税額(年金で分割受取、年間換算)数千〜数万円/年数十万円/年(累積で増える可能性)

ポイント:受取総額が小さい場合は差が小さいが、大きいほど退職所得控除の恩恵が効きやすく一時金有利の傾向。

メリット・デメリット早見表

受取方法メリットデメリット
一時金(一括)退職所得控除で税負担が軽い。まとまった支出(住宅・借入返済・事業資金)に使える。浪費リスク、運用・長生きリスクを一人で抱える。税制は将来変わる可能性あり。
年金(分割)収入を平準化して生活費を安定化。長生きリスクの一部を緩和。税の平準化が可能。総合課税で年毎の税負担が増える可能性。まとまった資金がすぐ必要な場合には不向き。

判断を左右する実例パターン

  • まとまった住宅購入資金やローン一括返済が必要→ 一時金推奨(税面と資金ニーズが合致することが多い)。
  • 年金で生活を安定させたい・収入が少なく将来の税率が心配→ 年金(分割)推奨。
  • 税負担を最小化したいが浪費が心配→ 一部を一時金で受け取り、残りを年金にする併用が現実的。
  • 配偶者や相続対策を考える→ 受取方法で相続税や課税タイミングが変わるため、専門家と相談。

実務的ステップ:決める前にやること(チェックリスト)

  1. 受取候補の金額(総額)を確認する。
  2. 勤続年数等から退職所得控除の概算を出す(簡易試算でOK)。
  3. 退職後の年間の必要生活費と他の収入(年金等)を算出する。
  4. 一時金受取での税額試算・年金受取での年間税額想定を比較する。
  5. まとまった支出予定(住宅・教育・介護)を洗い出す。
  6. 可能なら税理士・FPにシミュ依頼。自分でやるならExcelで複数シナリオを比較する。

実務ワンポイント(現場で効く小技)

  • 一時金を受け取る場合でも、受取後すぐに全部使わず「短期・中期・長期」に分けて運用・保管するルールを作る。
  • 受取年を分散できる制度がある場合は年をまたいで受け取る(税平準化)。
  • 配偶者の収入や控除と合算した税負担をシミュレーションする(夫婦で最適化)。

まとめ(決め方の最短ルート)

税だけで判断すると誤ることがある。実務では「税」「ライフイベント」「心理(浪費・安心)」を合わせて考え、必要なら一部一時金+一部年金の併用でリスク分散するのが最も合理的。まずは簡易シミュで税差を可視化し、家族の優先順位に合わせて最終決定することをおすすめします。

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